自家製手作りクラフトビール 予備知識編 製造方法・缶ビールとの違い・法律など

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いつもご覧下さりありがとうございます。

先日のビールキット(道具)の準備モルトエキス缶(原料)の発注に続く第三弾です。

本当は『一次発酵仕込み編』を第三弾にする予定だったのですが、予備知識(雑学)として書いた内容が予定より多くなってしまいました。なので、別記事としてこちらで先に公開することにいたしました。

仕込み作業はもう済んでおり、現在、酵母ちゃんが鋭意活動中でがんばってるんですけどね(^_^;)A そちらは数日内にアップしますのでしばしお待ちを。

ではどうぞ。

では実作業に入る前に少々知識のウォーミングアップを。雑学的な内容ですが、初めての方には参考になるかと思います。お付き合い下さいませ。

ビールってどうやって作られるの?

最初にそもそもの本質的なところをご説明しときますね。ビールに限らず「お酒全般」に言えることですが、極々単純に、簡潔にまとめると、

糖分(原料)+酵母(細菌)⇒お酒

と、こういうしくみになっております。もうこれは不変の法則みたいなもんです。四千年前のご先祖様から脈々と受け継がれてきた、人類の発見した遺産であります。

ビールの場合は『ビール酵母』ちゃんを糖分の中に入れてあげると、パクパクと糖分を食べて(分解して)アルコールを排出(変換)してくれる訳です。ありがたいことですね~。で、ビールの場合、原料の糖分に相当するのが『麦汁(モルトエキス)』、つまり下の写真のカンヅメに入ってるやつです。

ビールキット缶(モルトエキス缶)

ビールもワインも日本酒も(いわゆる醸造酒は)基本的には全て同じです。麦汁を分解(発酵)するとビールが出来、ぶどうジュース(糖分そのものです!!)を分解するとワインができます。米を糖化させたものを分解させれば日本酒ができるというしくみです。

ウィスキーや焼酎、ブランデーなどの蒸留酒はそれぞれの元になる醸造酒を蒸留する、つまり二次加工品ということですので、最初にアルコールが発生するプロセスは全て同じです。

実際にスーパーで買ってきた100%ジュースにビール酵母を入れて、数日適温保存すればシードルっぽいものができます。そもままじゃ多分あんまり美味しくはないでしょうけどw

モルトエキス缶って何が入ってるの?

ズバリ『麦汁』が入っています。じゃあ麦汁とは何か?というと、元々の原料である大麦を発芽させた「麦芽」を加工したものです。何故加工するかというと…。

本来元々の原料である大麦(麦芽)の主成分は『でんぷん』です。これを煮込んでやることで、『糖化』することができます。糖化、つまり糖分に変換されて初めて酵母ちゃんが活動してくれる訳ですね。『でんぷん』のままでは酒にならないので『糖化』するのです。

で、例えばキリンやサントリーなんかのビール工場では、当然最初の、麦芽⇒糖化のプロセスから始めます。それと同じ工程を家でやることも可能なのですが、大変なんですよ。

そういうキットも販売されていますし、コダワリのあるマニアの方は自宅で麦芽の煮込みにチャレンジされている方もいるようです。ですが、暑いし、デカイ鍋がいるし、ゴミもたくさん出るし、そして結構失敗したりもするし。なのでその工程は工場でまとめてやってくれちゃってカンヅメにしてくれてるのが上のモルトエキス缶な訳ですね。

例えば、家で豚骨ラーメン食いたいからって寸胴で煮込むと大変でしょ。だからスープの素を買ってくる、それと同じです。

酵母について

モルトエキス缶にはビール1回分のビール酵母(イースト)も同梱されています。コーヒーシュガーのような僅か数グラムの袋に入った粉ですが、この酵母ちゃんがビールを作ってくれる頼もしいヤツであります。ビール以外のお酒、例えばワインを作るにはワイン酵母、日本酒には清酒酵母が活躍してくれます。

酵母は生き物ですので、彼らが活動しやすい環境を作ってあげることが我々にできる唯一のこととなります。主として二つ。

  1. 温度管理
  2. 消毒殺菌

の二点ですね。

自家製手作りビールで主として扱う『エール酵母』(⇔缶ビールの多くは『ラガー酵母』)の適温は18~26℃と言われています。温度が下限18℃を割って低すぎると活動を停止してしまいますし、高すぎると異常発酵するだけでなく、菌が死亡してしまいます(40℃以上)。ですので迅速で安定した発酵のためには、なるべく18-26℃をキープすることが大事です。

しかし、酵母が活動しやすい温度ということは、つまり雑菌にとっても快適な温度ということになります。しかもバケツ(タンク)の中には「オイシイ」糖分のカタマリである麦汁があるのですから、こんな天国のような環境はありません(冷蔵庫と違う常温だからね)。消毒を怠るとあっという間にカビたり腐ったり。なので、徹底した消毒と、なるべく外気を遮断する工夫が必要となります。ビールキットがタッパーのような密閉式になっていたり、ウォータキャッチャーを付けたりするのは、そのためです。

フリー素材 ビール

 

炭酸のしくみ…ビールの炭酸泡泡ってどうやってできるの?

そもそもあの炭酸、何なのか?というと…、コレはズバリ、発酵時に発生した炭酸ガス、つまり酵母が吐き出した気体なのです。しかし、一次発酵が終わった状態のもの(麦汁とビールの中間物)を味見すると…? 既にアルコールに変化してますのでお酒の味がします。ですがまだ炭酸のシュワシュワはありません。気の抜けたビールのような味です。

何故かというと発酵時に出た『酵母の息(=炭酸ガス)』をバケツ(タンク)の外へ排出してしまったからですね。そうしないと爆発しちゃいますからw では、排出を止めてやる、つまり容器を完全に密閉しつつ、尚且つ容器内で発酵を続けるとどうなるか? 酵母が吐き出した炭酸ガスは行き場をなくし、容器がパンパンに脹れ、次第に液体中に溶けてゆきます。その結果、『シュワシュワの炭酸』になるのです(これを『カーボネーション』といいます)。

実際には、一次発酵済みの液体をビンに詰め、少量の砂糖を追加すればOKです。このプロセスが二次発酵です。

ちなみにスパークリングワインなんかも同じようなしくみですね。新酒をビン詰めし、少し寝かせればできあがりです。逆に樽で寝かせると炭酸ガスは微小な木の隙間から排出されるため、シュワシュワではなくなりますね。

市販の缶ビールと自家製ビールって何か違うの?

家庭で作れる手作りビールと、キリンやサッポロなどの市販品ではいくつか異なる点があります。主として二つ。

  1. 酵母の違い(エール酵母とラガー酵母)
  2. 二次発酵=カーボネーション(シュワシュワ炭酸化)のプロセス

1.酵母の違い

自家製ビールで主として使われているのはエール酵母です。対して一番搾りや黒ラベルなど、多くの市販ビールが使用しているのはラガー酵母といいます。簡単にまとめるとこんな感じです。

  エール酵母 ラガー酵母
発酵 上面発酵 下面発酵
適温 18-26℃

7-15℃
(しかも温度変化に弱い)

特徴 甘み、香ばしさ、風味 クリアでキリっと爽快
その他 伝統製法 管理が大変

元々ビールのルーツを辿るとエール酵母での製法となります。管理が楽なんですね。だから自家製に向いているとも言えます。

アメリカではスーパーにエール酵母のビンビールが置いてあったりします。たまに飲むと風味があってホンワカとした美味しさがあります。ですが、日本ではほぼ見ないですね。サントリーのプレミアムモルツの限定品で一部あるようですが。

一方のラガー酵母は、冷蔵庫が発明された近代以降になってようやく安定供給されるようになりました。管理は大変ですが、逆にそれさえシッカリできれば、品質の個体差(バラつき)の少ないラガーの方が、大量生産に向いていたのでしょうか、我々が口にする市販ビールはラガー酵母ばかりですね。あるいは高温多湿な風土で日本人の口に合ったのかな?

2.カーボネーションのプロセス

前の項、炭酸のしくみで触れたとおりです。ビンヅメ後に少しだけ発酵を追加することで、密閉したビン内で発生した炭酸ガスを液体に溶かし込む。そうすると、ビールの炭酸シュワシュワが出来上がるという話をしました。これが本来のカーボネーションです。

ですが、缶ビールなどの市販ビールはこの工程がありません。結論から言うと、最後にボンベで炭酸ガスを強制的に注入しています。要するにコーラとかと同じですね。

つまり二次発酵のプロセス自体がないのです。自家製ビールはビンの中に生きた酵母が入っていますが、市販の缶ビールには酵母はもういません。カン(ビン)詰めの前に全て酵母を除去してしまいます。理由は品質の変化やバラつきを防ぐ為なのでしょう。

作られたロットによって、あるいは製造日からの経過日数によって品質が変化すること(いい意味でも)を避けたいという意図が感じられます。実際手作りの自家製ビールは半年や一年寝かせておくことで味がまろやかになったり、変化が楽しめます。ですが缶ビールは酵母を取り除いてしまうことで、以後、発酵が進むことはありませんので、品質の変化がほとんどありません。

この辺は大量生産品の宿命と言うか、痛し痒しなところでありますね。
(※一番搾りの無濾過など一部商品は酵母が生きています。)

余談ですが、ビール酵母は腸内環境に良いってんで健康食品にもいろいろありますね(「わかもと」とか「エビオス錠」が昔からの定番)。で、体に良いってんで毎日缶ビール飲んでるお父さん、いらっしゃいませんか?上記の通り、缶ビールにはビール酵母入ってませんのでご注意を。お腹に効いてるって?ただのプラシーボ効果ですw

で、話を元に戻します。酵母を除去する方法です。カン(ビン)詰めする前にどうやって除去するかというと…

煮沸です。酵母は熱に弱いですからね。といっても100℃とかではなく酵母が死ぬ温度程度ですね。昔はそれしか方法がありませんでした。伝統のキリンクラシックラガーやサッポロ黒ラベルの製法です。あの苦い感じね。

ところがですね、1980年頃に革新的な技術が導入されました。NASAなどで開発された極微小なフィルターを使うことで、酵母を漉し取ることができるようになったのです。まあフィルターっつってもバカでかいプラントみたいな機械ですけどねw それによって加熱しなくても済むようになりました。
加熱しない=火を通さない=………『生』

これがビール史における重大イベント、生ビールの登場であります。

まあでも生ってのはちょっと無理があるよね。正確には非加熱ビールとか呼ぶべきなんだろうな…(^^;)A

自家製ビールって法律的にヤバくないの?違法じゃないの?

最後に皆さん気になるこの話。一応触れない訳にはいかないでしょう。まずはこちらをご覧ください。

『国税庁HP:いわゆるビールキットでの自家製ビール造りは問題がありますか』

酒税法第7条、第54条だそうです。簡単にまとめるとこうなります。

  • 酒類(=アルコール度数1度以上の飲料)を作るには税務署の許可(=酒類製造免許)が要ります。
  • 違反すると懲役もしくは罰金です。
  • ビールの場合は年間60㌔㍑以上作らない人には許可は出しません。

ということです。事実上、個人で許可を取ることはできませんから、1%未満になるように希釈するしかありません。個人利用だったら問題ない、というのは嘘です。気をつけましょう。

バレなきゃいいとか、じゃないからね。わかったね!!

まとめ

ということで、一通り、自家製ビールにまつわる雑学をざーっと並べてみました。みなさんのビール作りに生かしていただくなり、飲み会のウンチクに使っていただくなり、お役立て下さいませ(^_^;)A

引き続き第四弾仕込み編はこちら(New!! 2/26公開) オススメ

 

(2018.2.25追記)オマケ:ビアガーデンのようなクリーミーな泡を再現する方法

追記です。
何かコツがあるの?と、よく聞かれるので、簡単に触れておきますね。

居酒屋でバイトしたことのある方や、レンタルで生ビールサーバーを使ったことがある方はご存知でしょうが、アノ泡って最後にノズルのコックを反対側に押し込んで、『泡』モードにして作るんですよね。炭酸ガスを微噴射モードにするのか何か知らんけど、要するに、単に缶ビールを自由落下させてもあの細かな泡は再現できないのであります。

ということで、自宅で簡単にクリーミー泡を再現する方法はこれ。

コーヒー用のミルクフォーマーを使います。
カプチーノ用の泡泡ミルクを作る道具ですね。これで数秒、上澄みの方をかき混ぜればOK。ただし、ミルクフォーマーって結構高出力なので、やり過ぎるとすぐ溢れてしまいますのでご注意を。

で、我が家のように家でエスプレッソを淹れてる方は既にひとつお持ちになってるかと思いますが、これってまあまあのお値段なんですよね。1000円~2000円程度します。なもんで、コーヒー用のニーズが無い方には敢えてこちらをおすすめしときます。

ミルクフォーマーでクリーミーなビール泡

100均です。
出先のツーリングやキャンプでカプチーノを飲みたいな~と思って買ったミルクフォーマー。これがまあ100均クオリティつーか、モーターの出力が弱くて、コーヒー用としてはまったく「使えない」ゴミでございました。牛乳は全く泡立たないというシロモノw

ですが、その弱々しい回転トルクがビールの泡立ちには丁度いいという、なんとも皮肉な出会いw 溢れる心配もないので安心して使えます、オイオイ(笑)。108円ですのでね、捨てても良いやってことで、試しに、という方はこちらが良いかと思います。お試しあれ。

ちなみに一番搾りやモルツなどの缶ビールでも応用可能です。ビール好きな方は覚えときましょう♪

 

本日も最後までお付き合い下さりありがとうございました。

こちらもどうぞ
『ボトル詰め&二次発酵編』(2017.3.2New!!)
『ビールキット(道具)準備編』
『モルトエキス缶(原料)発注編』
『捨てちゃう澱(おり)=ビール酵母の再利用!!整腸サプリの代用、肥料、ピザ生地など』

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